感性デザイン工学研究部会

酒井義郎

山口大学工学部感性デザイン工学科 教授

1.はじめに?本部会の背景について?

このたび感性工学会部会として設立させていただく感性デザイン工学研究会は、1996年度に設置された山口大学工学部感性デザイン工学科を基盤とします。山口大学工学部感性デザイン工学科は、”心を忘れかけた現代、工学に感性を取り入れ建築・映像の次世代を築く”をモットーに理工系教官に文系教官を交え、従来の工学の枠を超えた新しい工学系学科として設立されました。現代は、いろいろな意味で心の問題が軽んじられ、社会生活において様々な精神的しわ寄せが来ております。一方で、高齢化、ノーマライゼーションなど人権に関わる問題が重視されつつあり、少しづつではありますが、世の中は確実に”心を尊重する”時代へと変化しつつあります。そうした中で、これまで効率一辺倒であった工学・技術にも大きな変化を迫られております。感性デザイン工学科は、ひとの感性を工学に取り入れて建築や映像さらには広く”もの(プロダクト)”づくりにおけるデザイン(デザインは単に意匠の問題ではなく、”設計”を基本的な問題として大きく含んでおります。)の問題を扱う学科です。すなわち、学科名称が示しますように感性デザイン工学科の目指すところは、工学に感性を取り入れるための基礎的な学問としての感性工学さらにヒューマンインターフェイスの問題について研究発展させることおよびその建築や映像におけるデザインへの応用です。昨今バリアフリー、ノーマライゼーション、ユニバーサルデザインなど福祉関連の動きも大きくなっておりますが、”福祉”は広く捉えれば”ひとに対するやさしさ”であり、ヒューマンインターフェイスの原点といえますし、デザインの問題は工学上重要な位置を占めつつあります。感性デザイン工学科の内容は時宜を得た21世紀に向けて望ましい内容と、多くの企業その他のご理解をいただいております。上記のような状況の中で、感性デザイン工学科は、地元山口県の第3セクターである山口県産業技術開発機構と連携して「感性デザイン工学研究会」を運営しております。県内産官学の多数の会員の参加を得てこれまで2年間にわたり年4回の割で建築、映像関連の研究会を開催しており、今後も引き続き活動を続けていきます。

2.本部会の趣旨?見た目としてのデザインとしくみとしてのデザイン?

上記のような背景の中で、本部会では”感性デザイン”を、地域環境・都市計画・福祉の枠組みの中での建築や、映像を中心としたマルチメディアにおけるデザインの問題と捉えます。デザインは、具象を扱う上での一つの側面としてはいわゆる意匠であります。デザイン性の良いことがひとにやさしく、見た目もよく、使い勝手の良いことにつながりますが、そこに(ひとの感性を踏まえた)工学の視点を入れてはじめて、デザイン性が生きるものと考えます。もう一つの側面は、システムとしての設計(システムデザイン)の面です。従来システム設計としての工学的な追求は機能性重視で行われてきましたが、ヒューマンインターフェイスという観点からひとと物理的なシステムとの間をつなぐやり方について検討することが必要となります。これまで、この点に関して一般に論理的視点だけから扱われてきましたが、感性工学的にはイメージ的な側面が重要と考えます。

3.運営方針?ブレインストーミングからはじめます?

 一つには山口県内において感性に関わる、様々な工学上の動きがあり、それらと連携しつつ県内における基礎固めとして感性デザイン工学の概念の普及を目指します。また同時に、近隣諸県や東京・大阪それぞれの地域性に根ざした感性工学に関連の深い活動との連携を図ります。いずれにおいても、感性工学および感性デザイン工学の応用面での展開を図ります。

 上の2.趣旨で述べましたようなデザイン性の良い具体的な製品開発を目指すことも目標のひとつです。またシステムデザインという側面では、システムはひとが使うものであるという観点から感性工学的に捉えたヒューマンインターフェイスの問題を重視した、新しいシステム構築について検討していきます。会員相互の研究会を開催する中で、具体的な目標を定めた形のものが立ち上がることを目標とします。


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