風土工学研究部会

*竹林征三

(財)土木研究センター風土工学研究所所長

1.はじめに

これまでの土木工学はより利便国土形成に向けて、道づくり、鉄道づくり、港づくりに大きな成果を上げてきましたが、これまで利便国土形成、安全国土形成するという機能の最適化原理が主流となるあまり、元来の土木施設の果たす、地域の風土文化形成機能が忘れ去られ個性のない町や地域が形成されてきたといえます。現在、これらの反省もふまえ、土木事業は自然環境との共生と共に、地域風土文化との親和、すなわち、地域の誇りとなり、個性豊かな地域づくりに資することが求められてきています。

人それぞれに個性やプライドがあるように、地域にも強烈な個性並びにプライドがあります。が地域の個性やプライドは、隠されたり、傷つけられている場合も多いのです。

しかし、感性を磨き、その地の歴史や風土文化をよく調べ、知れば知る程、隠れている地域の個性やプライドを認識でき、地域の個性やプライドの悲痛な叫びに気づくことになります。土木は大地を刻し、風土を改変する仕事であり、土木事業は、地域の個性やプライドに適した活躍の場を与え、演出し主張させることが可能であります。

写真−1 風土工学の考え方と手法が取り入れられた九頭竜川鳴鹿大堰の設計(略)
真−2 雷電廿六木橋(命名事例)

“その地の風土文化とハーモニーし、風土を活かし、地域を光らす、個性豊かな地域づくりのテクノロジー”、それを実現するのが「風土工学」であります。また、風土工学は、感性工学より生まれた工学であり、風土工学と感性工学は不即不離の関係にあります。

 

図−1 絵本および書籍

2.部会設置の主旨

このたび、日本感性工学会の研究部会の一つとして「風土工学研究部会」を設置し、風土工学の理論の研磨と拡充、導入可能な手法の開発と共に、実事例への適用にあたっての各種の課題についての研究する場が創立されました。皆様のご参加により風土工学のさらなる発展への支援をお願いしたいと存じております。

3.部会の運営方針

@研究部会名 風土工学研究部会

A申請代表者 竹林 征三

       (風土工学研究所所長)

B部会組織  50名程度
C部会員要件

当研究部会の趣旨の賛同する日本感性工学会会員または入会希望者 D部会費
研究部会開催の際に必要な最小限の参加費程度を収集
E設置希望日
日本感性工学会の発会式開催日

(1999年6月5日予定)
F開催頻度 年に2〜3回程度
G開催会場 原則として東京周辺
H研究目的

I研究分野 J研究方法
部会員による発表・討論、斯界の第一人者による講演、文献調査など
K研究発表 日本感性工学会研究発表会(毎年9月または10月開催)等で積極的に発表する。 L準備状況 申請代表者をはじめとする風土工学を研究するグループは、土木学会をはじめ周辺諸学会にこれまで多くの論文を積極的に発表し、風土工学という新たな分野が徐々にではあるが認識されるようになってきた。又、申請者による講演活動は、年間に約40回程度に及び、新聞等マスコミにも取り上げられ反響を呼んでいる。

 平成10年4月には第1回科学技術普及啓発功績者表彰(科学技術庁長官賞)、6月には年間優秀博士論文として前田工学賞を受賞するなど、関係方面から高く評価されてきている。その結果、多くのプロジェクトにおいて風土工学を実際に適用してほしいとの要請が生起している。また、風土工学に関心を持つ多くの方々から学会の設立の要請が多く寄せられている。
 

図−2 科学技術庁長官賞(上)前田工学賞(下)


*現在の所属:富士常葉大学環境防災学部 教授