マルチメディア情報処理部会

1.はじめに

近年、科学技術の広範かつ急速な進展が、今日の経済社会の発展をもたらし、その成果は、情報通信、経済、医療、教育を始め、あらゆる分野での大きな進展に寄与しつつある。特に、目覚ましい情報科学の進展は、人類の生活の大変革をもたらしてきている。このため、来たるべき21世紀には人間を中心とした、ゆとりある豊かな社会の建設という最も基本的な立場からの要請に応えることが産官学に求められているのが現状である。この要請のため、従来からの人間の知性、知能から捉えた情報処理技術者の育成に加え、新たに、豊かさを人間の感性から感覚的にとらえて評価し、実践してシステムを構築していく人間情報科学を、協調させることにより、文理融合した感性工学技術者の育成と研究を目指すことの意義は大きい。このためには、人間を中心とし、人間性を加味した、豊かな社会の建設という新たな知の生産が実現できる感性工学が推進できる教育研究が用意されて実施でき、それを工業的に実現できる十分な環境を整える必要がある。日本感性工学会の創設推進は、このような社会の構築推進にぜひとも必要な場であると考える。

2.マルチメディア情報処理部会設置の趣旨

 ディジタル信号処理技術の飛躍的な発展は、社会のインフラ構築の進展、計算機や、多種多様なメディアによる高度な情報通信の進展に大きく寄与している。そして、それらの技術は、いわゆるマルチメディア技術としてあらゆる分野において情報科学の進展に貢献し、人類の生活の大変革をもたらし、来たる21世紀には国家の主力戦略産業は情報産業とされるまでの影響を与えている。しかし、一方現在では、これらの進展が利便性、経済性などの追及を第一義的としたきたことへの反省を踏まえ、新しい世紀に向けて、科学技術の進展を重視しつつも、人間社会、及び、自然環境との調和を前提とし、人間を重視し、生活を重視し、生活の豊かさ、快適性を実感できる技術に貢献することへの重要性が指摘されてきている。すなわち、人間を中心とした、ゆとりある豊かな社会の建設という最も基本的な立場からのアプローチが必要である。これを達成するためには、コンピュータを利用して、人間の知性、知能に基づく情報処理を研究する従来からの情報科学に加え、人間を研究する学問としての認知心理学をベースにして、人間が行っているアルゴリズムを考察し、その結果を人間の感性から感覚的にとらえて、非論理的な情報処理として工学的に反映してシステムを構築していく、人間情報科学の観点からのアプローチがぜひとも必要である。そして、これらを相互に協調させることにより、従来の人間の論理的思考に加えて、人間の感性を中心とする非論理的な思考も統合し、新たな知の生産を実現できる研究推進が必要となる。マルチメディア情報処理部会は、この観点から、最近のマルチメディアの進展を背景に、特に、ディジタル情報処理、いわば、人間とマルチメディア情報の処理を通じて、多様な製品に対応可能な生産技術や、さらに効率的で、人間にやさしい情報通信メディアの進展に寄与し、人間を重視した、豊かな社会の実現に貢献することを目的としている。

3.運営方針

 学際的で、かつ、複合境界領域を融合した新しい領域を指向する学術団体の中の研究部会との位置付けを重要視する。この方針により、いわゆる学術的な面だけにとらわれず、人間を取り巻くマルチメディア環境の情報を処理することにより、私達人間にとり心地よく感じ、かつ、豊かな社会構築に役立つ考え方とその有用性を訴求し、その方法手段を開拓していく研究部会を指向する。具体的には、既存の学会との共催を図りながら、複合領域の整理統合を進め、徐々に本学会独自色の出せる研究部会を指向していきたい。技術分野のほとんどがマルチメディアに関連している現状を最大の武器に、この意味から多くのメンバーがこの部会に参加していただけることを願っている。


問い合わせ

理事 佐々木和也 宇都宮大学教育学部 准教授 

Tel. 028-649-5369 Fax. 028-649-5244、e-mail: sasakika@cc.utsunomiya-u.ac.jp

参与 春日正男 宇都宮大学大学院工学研究科情報制御システム科学専攻 教授

Tel. 028-689-6288、e-mail: kasuga@is.utsunomiya-u.ac.jp