フードサービス研究部会


1. はじめに
 
フードサービスは、街中ではカフェやレストラン、職場ではカフェテリア、学校では給食、病院では治療食と、食に関わる“美味しい”“楽しい”“いつもの”サービス事業として、商業集積や特定施設維持のため不可欠となっている。今日、O-157、BSEなどを契機に食の安全性が問われ、世界第2位の市場規模をもつ産業も転換期といわれる。そして、新たな事業成長スキーム構築に向けて走り出している。
フードサービス事業は、顧客としての「消費者」と、数多くの「事業者」によって織りなされている。この“事業者”は、消費者と向き合うフードサービス運営事業者(店舗現場従事者や栄養管理、本部従事者を含む)だけでなく、商業デベロッパー、POSシステム等情報処理関連会社、食材を納入する食品会社、調理作業で使う機器・什器のメーカーやサプライヤー、店舗や厨房設備など施設の設計・設備・施工会社などの関連事業者、電気・ガスのエネルギ供給事業者などと、実に多彩である。その分、業界を構成する専門領域も、マネジメント、マーケティング、施設管理、建築技術、設備計画、内装デザイン、食品流通、食品加工、厨房システム、食品科学、栄養管理などと、実に多様である。
今日の新たな事業成長スキーム構築には、消費者を研究し、様々な事業者の経営課題を克服してゆくことが求められるが、専門分野を横断した学際性と、サービス事業へ向けた工学的アプローチなどから、革新的な技術展開に関与することが求められると思われる。その意味で、「感性工学」の一感性システム分野として、フードサービスをとらえる価値が見出せる。

2.設立趣旨

本研究部会は、フードサービス事業を人の感性が織りなす「感性事業」ととらえ、人たる消費者や事業者が関わる複雑系の工学的アプローチ(人間、認知、情報、機械、食品科学、栄養など)から、人の感性(とりわけ最適の評価)を定量化する道筋を研究し、その成果を実産業に(商品やシステムとして)生かす技術の確立を目指す。当然ながら、種々の技術的標準化や分析上のモデル論もさけて通れない。
研究対象は、定量化アプローチにより技術の確立に関与する全ての分野が対象となるが、構造的な問題として経営、情報、環境、施設、需要、調理、衛生、栄養、労務、安全などの分野における最適化、効率化、合理化、自動化などが対象となる。

3.運営方針

3-1)大きな研究対象
前述の技術の確立には、多岐にわたる関心事があるが、大きな研究対象としては、レシピのデジタルコンテンツ化へ向けたインフラ整備のための技術基盤があげられ、知的所有に関する流通やエンタメ事業にも関与した大きなテーマとなる。また、商業や店舗に関する感性デザインのシステム化へ向けた認知モデル構築や需要測定技術も大きな対象であり、建築・内装だけでなくマネジメントやマーケティングにも関与するテーマとなる。

3-2)当面の課題(H16年9月現在)
特に、本研究会の発足動機となった、昨年度からのテーマであるインテリジェント・レストラン・マネジメント(IRM)という、調理制御に関するシステムコンセプトの開発研究を取り上げたい。これは、フードサービス業界での「進化する厨房」として、今日の技術革新の旗手と目されている。ここでは、調理という人間の行為における最適な合理化策を扱い、設備のハードだけでなく、コンピュータソフトウェアに起因して、人間が行う調理の運用手法まで革新してしまう可能性がある。そこで、期待できる革新とは何か、どのようであれば最適なのか、消費者にとっての食の安全性はより確保できるか、作業者はより働きやすくなるか、人・物のマネジメントにとっての価値は何か等々、ヒューマン・インターフエースを感性からとらえた、様々な立場からの研究活動を当面の課題としたい。

3-3)部会活動
 年2〜4回程度の話題提供あるいは事例発表を中心とした研究会を企画し、その中で様々な分野の定量化アプローチを通した議論を深める。また、部会構成メンバー間の情報交換も行い、国内外の視察、研修計画や共同研究体制も作りたい。活動内容は、部会専用のHPをコミュニケーション媒体として運用予定。

問合せ:部会長/ 金子孝一(宮城大学事業構想学部教授)  E-mail: kaneko@myu.ac.jp
        〒981-3298 宮城県黒川郡大和町学苑1番     TEL/FAX: 022-377-8278/8390