視覚感性研究部会

 斎田 真也
防衛大学校 応用物理学科 教授

1.趣旨
 人間の大脳皮質の半分以上が視覚に関係すると言われている。視覚は人間の情報収集機能の基本であり、視覚情報は脳の高次機能である感性の形成に大きな影響を与える。

視覚特性については初期レベルの解明は進み、多くのことが明らかになったが、高次レベルの解明はこれからの課題であり、感性との関係も未知の部分が多い。たとえば、私たち人間は3次元空間に住んでいるが、視覚情報を受け取る入り口である網膜は2次元受光器官であり、2次元情報から3次元空間を脳内に構築する仕組みに関しては古来多くの人々の関心事となっている。画家が自分の内的洞察を基にしていわゆる絵画的手掛かり(線遠近法、重なり、陰、大気遠近法など)を見つけ出し、自ら作品の中に応用している。これは脳における感性処理が先行して、視覚特性を明らかにした例であろう。しかしながら、実空間で常に運動している状況で両眼視差、運動視差や絵画的手掛かりなどの多くの手掛かりの統合に関しての明確な理論はいまだに完成されていない。そのため、視覚情報と臨場感や立体感のある感性豊かな画像・映像表示との関係は未だ確立されていない。一方、色覚においても、豊かな感性を引き起こすがゆえに数々の色彩理論が古くから提案されている。色の見えを基にした反対色理論がその良い例である。また、言語間に共通した色名の研究からカテゴリカル基本色が40年前に見出された。その後、研究が進み、言語による分類があるからカテゴリー性が出るのではなく、元々脳内にカテゴリー性があり、それに言語が結びついて色名が生まれたとの見解が最近出されている。このように視覚研究はより高次機能解明の方向へと展開し、視覚と感性の関係を明らかにすることがますます重要な課題になってきている。

このような背景の下、感性工学会において視覚の側面から感性をより深く捕らえることは、感性工学の発展にとって極めて有意義なことと思われる。

2.活動方針
 本研究部会は視覚研究を中心課題にして、心理学、人間工学、光学、情報工学、脳科学、画像工学、心身障害学から芸術学、デザイン学、色彩学など多様な分野の研究者の参画の下に研究集会や共同プロジェクト等の活動を行う。なお、視覚情報が脳で処理され、脳で感性が生まれることは近年の科学において論をまたないところである。当研究部会はすでに発足している感性脳機能部会と密接な連絡を取りながら進めていく。


問い合わせ
日本感性工学会 視覚感性研究部会

事務局 佐藤雅之

北九州市立大学国際環境工学部情報メディア工学科

808-0135 北九州市若松区ひびきの1-1

Tel: 093-695-3352, E-mail: msato@env.kitakyu-u.ac.jp